「やせたいけどご飯もいっぱい食べたい!」そう思うのは自然な事です。
やせるためにはエネルギーの消費量を増やして、食べた分以上のエネルギーを使ってしまわなくてはなりません。
もちろん運動をしてエネルギーを消費したり、筋トレで筋肉を付けて基礎代謝量を上げる事はとても効果的です。
しかしエネルギーを消費する方法はそれだけではありません。
なんと、ものを食べる事で消費されるエネルギーもあるんです。
今回は食事誘発性熱産生と呼ばれるエネルギー代謝についてと、食事誘発性熱産生を高めてたくさんのエネルギーを消費する方法をご紹介します。
食事誘発性熱産生とは?
皆さんはご飯を食べた後、じっとしてても体がポカポカと温まってきたと感じた事はありませんか?
これは、食べた物を消化・吸収する時に使われたエネルギーが熱に変わって出て行ってるからです。
このように、食べた物を消化・吸収する時に消費されるエネルギーを食事誘発性熱産生(DIT : Diet Induced Thermogenesis)といいます。
ちょっと長くて覚えにくいですね。
エネルギーの総消費量は「基礎代謝」「活動代謝」「食事誘発性熱産生」の合計で決まります。
- 基礎代謝 : 呼吸や心臓の鼓動、細胞の作り替えなど、生きてるだけで常に消費しているエネルギー
- 活動代謝 : 体を動かしたときに消費するエネルギー
- 食事誘発性熱産生 : 食べたものを消化するときに消費するエネルギー
その人の生活習慣によっても変わりますが、これらの内訳は大体「基礎代謝:60%」「活動代謝:30%」「食事誘発性熱産生:10%」と言われています。
つまり、1日に消費するエネルギーの内、約1割は食べる事で消費されているのです!
やせるために食べないというのはとても勿体ない事だと分かりますよね。
食事誘発性熱産生を高める方法
では、食事誘発性熱産生を高めてエネルギーの消費量を増やすためにはどうすれば良いのでしょうか?
食事誘発性熱産生を高めるには、次の3つの方法があります。
- たんぱく質を中心に摂る
- 朝ご飯をしっかり食べる
- 良く噛んで時間をかけて食べる
1つずつ見ていきましょう。
食事誘発性熱産生が高い食品

食事誘発性熱産生の大きさは、消化する栄養素によって変わります。
仮にそれぞれの栄養素だけを摂った場合、炭水化物(糖質)では摂取したカロリーの約6%、脂質では約4%、そしてたんぱく質では約30%が食事誘発性熱産生として消費される事が分かっています。
たんぱく質、圧倒的ですね。
つまり食事の時にたんぱく質の割合を多くしておけば、消化の時点でたくさんのエネルギーを消費し、摂取カロリーを抑える事ができるのです。
また、体が冷えやすいという方にもたんぱく質はおすすめです。
食事誘発性熱産生が大きくなるたんぱく質は、それだけ消化の時にたくさんの熱を生み出します。
そのため、食後に体が温まりやすく、体の冷えを防ぐことができます。
たんぱく質が多い食品といえばお肉です。
その他にも、卵や乳、魚や大豆などにも多くのたんぱく質が含まれています。
とは言え、お肉にはたんぱく質だけでなく脂質も糖質も含まれているので、お肉のカロリー=たんぱく質のカロリーというわけではありません。
そこは気を付けましょう。
食事誘発性熱産生は朝が1番大きい
食事誘発性熱産生を高めるのは、食事の内容だけではありません。
食べる時間帯によっても、食事誘発性熱産生の大きさは変わってきます。
2010年の保険福祉大学の研究によると、以下のことが分かっています。
朝早い食事のDITが高く、逆に夜遅い食事のDITが低くなることが認められ、1日3食の食事を夜遅い時間へとシフトさせると、同じエネルギー量を摂取しても食事によって誘発されるエネルギー消費量は低くなった。
関野 由香, 柏 絵理子, 中村 丁次「食事時刻の変化が若年女子の食事誘発性熱産生に及ぼす影響」日本栄養・食糧学会誌 2010 年 63 巻 3 号 p.106
つまり、同じ3食を食べるなら、朝食・昼食・夕食を食べた方が、昼食・夕食・夜食を食べるより多くのエネルギーを消費するということです。
特に脳や体が起き出してたくさんのエネルギーを使う朝は、食事誘発性熱産生が1番大きくなります。
逆に、後は寝るだけでほとんどエネルギーを使わない夜は、食事誘発性熱産生も1番小さくなってしまいます。
「いつもバタバタしてて朝ご飯を抜いてしまう」「夜のカップラーメンがやめられない」といった方は要注意です。
頑張って早起きできるように生活習慣を見直し、朝ご飯でたくさんのエネルギーを消費しましょう。
ゆっくり食べると食事誘発性熱産生が増える

ご飯を良く噛んでゆっくり食べることでも、食事誘発性熱産生を高めることができます。
2015年の東京工業大学の研究では次のような結果が示されました。
合計621kcal(キロカロリー)の食事をできるだけ急いで食べると、その後、3時間の食事誘発性体熱産生は15kcalだった。一方、食塊がなくなるまでよく噛(か)んで食べた時には30kcalと有意に高い値だった。
東工大ニュース. “長時間咀嚼すると食後のエネルギー消費が増える”. 東京工業大学. 2015.05.12.
なんとなくあまり噛まないで飲み込んだ方が消化にたくさんのエネルギーを使いそうですが、逆なんですね。
また、良く噛んで食べることは食べ過ぎの防止にもなります。
ご飯を食べると満腹中枢が刺激されて満腹感を感じるのですが、脳が満腹感を感じるまでには20分程度の時間がかかるのです。
あまり噛まずに早食いをしてしまうと、満腹感を感じる前にたくさんのご飯を食べてしまうので、結果的に食べ過ぎとなってしまいます。
早食いがクセになってしまっている人は、意識してゆっくり食べるのが難しいと感じるかもしれません。
そんな時は早さではなく、ご飯を味わうことに意識を向けてみましょう。
お米の甘さを感じるくらい味に意識を向けて食べれば、結果として良く噛むことになるし、ご飯もより美味しく味わえるので良いことずくめですよ。
まとめ
食べ物を消化する時に消費されるエネルギー「食事誘発性熱産生」についてご紹介しました。
覚えにくい名前なのであえて「食事誘発性熱産生」を連呼しましたが、覚えられましたか?
まとめると、「たんぱく質中心の朝ご飯を、良く噛んでゆっくりと食べること」。
これこそが食事誘発性熱産生を高める1番の方法となります。
夜型から朝型になるだけでも1日のエネルギー消費量は増えるので、まずは頑張って早起きができるように生活を見直しましょう!