ダイエット中に避けたい栄養素の筆頭と言えば、よく挙がるのがコレステロール!
血液中のコレステロール値が高くなると、脂質異常症やメタボリックシンドローム、動脈硬化などの原因にもなりかねません。
そんな悪者のイメージが強いコレステロールですが、「栄養素」と言われている以上、実は人体に無くてはならない大事な成分でもあるんです。
今回は、コレステロールの栄養素としての役割と共に、善玉・悪玉の違いや、食べ物からの上手な摂り方についても紹介していきますよ。
コレステロールって何?
コレステロールは脂質を構成している成分の1つです。
糖質、たんぱく質と並んで三大栄養素の1つである脂質は、脂肪酸や中性脂肪、リン脂質、コレステロールなどといったもので構成されています。
コレステロールの主な役割は、色々なものの材料となることです。
細胞1つ1つを覆っている細胞膜や、身体の機能を正しく動かすためのホルモン、骨や歯の成長には欠かせないビタミンDといったものの材料になり、更に脂肪の消化に不可欠な胆汁の成分にもなっています。
【コレステロールの4つの役割】
- 細胞膜の材料になる
- ホルモンの材料になる
- ビタミンDの材料になる
- 胆汁の成分になる
ほとんどのコレステロールは肝臓で作られている
そんなコレステロールですが、必要な量の全てを食べ物から摂っているわけではありません。
実は体内で使われているコレステロールの内、約80%は体内の色々な臓器で作られていて、食べ物から使われる量は20%程度しかないのです。
特に肝臓は1日に1,000~2,000mgと最も多くのコレステロールを合成していて、作られたコレステロールや食べ物から摂れたコレステロールの貯蔵も担当しています。
しかも人の体というものは優秀で、コレステロールを多く摂ると体内で作られるコレステロールの量を少なくして体内にあるコレステロールの量を一定に保つ能力を持っています。
そのため、人によってはコレステロールをたくさん摂っても血中コレステロール値が上がりにくい人もおり、必ずしもコレステロールの摂り過ぎが脂質異常症の原因になるとは限らないのです。
逆に食事のコレステロールに影響されやすい人は、1日の摂取量を200mg未満にすることをオススメされています。
大体たまご1個分、レバーや白子だと50g分くらいです。
善玉コレステロールと悪玉コレステロール
腸内細菌に善玉菌と悪玉菌があるように、コレステロールにも善玉コレステロールと悪玉コレステロールというものがあります。
悪玉コレステロールは、増え過ぎると動脈硬化などを引き起こしかねないイメージ通りの悪者です。
逆に善玉コレステロールは、血液中のコレステロール値を下げてくれる事が分かっています。
では、善玉コレステロールと悪玉コレステロールの違いはどこにあるのでしょうか?
善玉・悪玉の違いはコレステロールの運び方
コレステロールは肝臓で作られて溜め込まれ、血液に乗って全身に運ばれます。
しかしコレステロールは脂なので、そのままでは血液に溶けることができません。
そこで血液に溶かして運べるように、たんぱく質と結合して「リポタンパク」という水溶性の粒子に変形します。
善玉コレステロールと悪玉コレステロールは、4つあるリポタンパクの形態の1つで、乗り物に例えると分かりやすくなります。

悪玉コレステロールは肝臓から全身に送られる「行きの小舟」です。
小舟なので航行中にコレステロールをポロポロこぼしてしまい、こぼれたコレステロールが血管壁内に入り込んで溜まってしまいます。
その結果、血管が狭くなってしまい、心筋梗塞や脳卒中の発症率を上げてしまうのです。
一方、善玉コレステロールは全身から肝臓へ送られる「帰りのブルドーザー」です。
各臓器で使われなかったコレステロールや、血管壁に張り付いたコレステロールを回収して肝臓へ持って帰ってくれます。
そのため、善玉コレステロールは多い方が良く、心筋梗塞や脳卒中の発症率を下げてくれる事も分かっています。
同じコレステロールなのに、乗り物が違うだけで全く逆の役割を持つようになるんですね。
以下の3つのうち1つでも当てはまっていると、脂質異常症と診断されます。
- 悪玉コレステロール値:140mg/dl以上
- 中性脂肪値:150mg/dl以上
- 善玉コレステロール値:40mg/dl未満
これを見ても分かるように、善玉コレステロールだけは足りない方が良くない状態です。
善玉コレステロールと中性脂肪はシーソーの様な関係になっているので、中性脂肪を減らすように気を付けることで、同時に善玉コレステロールを増やすことができますよ。
中性脂肪が善玉コレステロールの邪魔をする
血液中を流れるリポタンパクには、善玉コレステロールと悪玉コレステロールの他にも、中性脂肪から変形したVLDLというものもあります。
これが血液中に増えすぎると、善玉コレステロールが減って血液中のコレステロールがうまく回収されなくなってしまいます。
また、悪玉コレステロールは粒子が小さい超悪玉コレステロールというものになり、さらに血管内にへばりつきやすくなってしまうのです。
中性脂肪は普段はエネルギー源として使われていますが、余ると体脂肪として蓄えられてしまうので、コレステロールよりも直接的に肥満につながってしまう栄養素と言えますね。
コレステロール値と食事の2つのポイント

コレステロールは肝臓で作られているので、食べ物でもレバーに多く含まれています。
卵もコレステロールが多く、その量は1個の卵でヒレ肉やもも肉の約4~5倍です。
また、魚介類ではタコ、イカ、ウナギの他、白子や魚卵に多く、魚介だからといって油断はできません。
ただ、先ほども紹介したように、体内で使われているコレステロールは食事からではなく、ほとんどが肝臓で作られています。
そのため食事では、コレステロールの量そのものよりも、中性脂肪や飽和脂肪酸の量に気を付けて、善玉コレステロール増↑、悪玉コレステロール減↓を目指す方がおすすめです。
「暴飲暴食をしない」「栄養バランスの良い食事を摂る」といった事は当たり前として、別のポイントを2つ紹介しますよ。
食物繊維が中性脂肪の吸収を抑える!
1つ目のポイントは食物繊維を多く摂ることです。
特に摂りたいのは海藻などのネバネバしたものに多い水溶性食物繊維!
食べた物の粘り気を増すことで腸内での動きをゆっくりにし、中性脂肪の吸収も緩やかにしてくれます。
また、胆汁酸を吸着して体の外に排泄させるので、新しい胆汁酸を作るためにコレステロールを使用し、血中コレステロール値を下げてくれる効果もあるのです。
しかし、野菜に多く含まれているのは不溶性食物繊維なので、にんじんなどのメジャーな野菜だけでは効果を十分に発揮できません。
海藻や果物を意識して食べ、水溶性食物繊維を積極的に摂りましょう。

えごま油や青魚で悪玉コレステロール値を下げよう!

2つ目のポイントは質の良い脂を摂ることです。
脂質は中性脂肪や脂肪酸、コレステロールなどで構成されているとされていましたね。
質の良い脂かどうかは、主に脂肪酸の種類で決まります。
脂肪酸には肉類に多い飽和脂肪酸と、植物油や青魚に多い不飽和脂肪酸があり、積極的に摂りたいのは不飽和脂肪酸の方です。
特に、えごま油や菜種油に多いα-リノレン酸と、青魚に多いIPAやDHAは、血中の中性脂肪値や悪玉コレステロール値を下げながら、善玉コレステロール値を増やしてもくれるという優れもの!
お肉やバター、生クリームなどの乳製品を摂り過ぎてるなぁと思ったら、少しずつイワシやサバなどの青魚に置き換えていきましょう。
まとめ
という訳で、コレステロールの正体や善玉・悪玉の違い、食事でのポイントなどをサクッと紹介してきました。
- コレステロールは脂質を構成する成分の1つ
- 細胞膜・ホルモン・ビタミンD・胆汁の材料になる
- 大半が肝臓で作られていて食事の影響は少なめ
- 悪玉コレステロールは病気のリスクを増やし、善玉コレステロールは減らす
- 中性脂肪が増えると善玉コレステロールが減ってしまう
- 水溶性食物繊維が中性脂肪値を減らす
- 不飽和脂肪酸が悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす
食事で摂るコレステロールの影響がいかほどかは人によりますが、どちらかというとコレステロールそのものの量よりも、中性脂肪や脂肪酸に気を配った方が効果を実感しやすいでしょう。
まずはレコーディングダイエットなどを利用して自分の食生活を見直し、今の自分がどれだけ多くの脂を摂っているのか意識するところから始めてみましょう。